本当の餌あげ

~熱帯魚の美しさを正しい餌あげで引き出そう~

熱帯魚に餌をあげる・・・飼育者が一番楽しい瞬間ですね!

 

大抵の方が1日2回朝晩食べ残さない程度に与えるとはご存知だと思いますが、簡単そうで以外と奥深いのが餌あげです。当店のスタッフもマスターするのに相当の日数を要します。なぜならば・・・

“量” “種類” “タイミング”

をしっかり考慮し、いくつかのポイントを踏まえて与える事で、熱帯魚をより健康に美しく育てる事が出来るからです!

 

このコラムで、本当の餌あげについて簡単にですがご紹介しましょう!


1、色々な餌をあたえましょう

熱帯魚は私たちが与えた餌しか食べる事が出来ません。より健康に育つよう、様々な種類の餌を用意し栄養の偏りをなくしましょう!

人工飼料

メインに与えたい餌

人工餌はメインに与えたい餌です。熱帯魚が健康に育つよう研究された栄養素から成り立ち、ほぼ理想の栄養価を誇ります。魚種別に専用の餌も用意されており、より細やかに栄養素を補給する事が出来ます。

~フレークフード各種~

魚種を選ばない万能餌です。水の中に入れると柔らかくなり熱帯魚達が自分で好きな大きさにちぎって食べられるため、与える熱帯魚の大きさを問わないところが優れています。またモーリーなどの口が平たい熱帯魚の餌として最適です。ただし薄く軽く作られているので、思ったよりも量を与えるのが難しいため、沢山餌を食べる熱帯魚にはやや不向きです。

~ペレット(粒)状餌各種~

栄養価としてはフレークフードと同じで理想の栄養価を持っています。また固形物なのでしっかりした量を与える事が出来るので、比較的大きくなる熱帯魚にも粒の大きな餌を与える事で対応できお勧めです。またフレークより加熱処理をされていないので、ビタミンも多く含みます。水中を落下するスピードが早く底に落ちやすいのが難点です。

~魚種別専用餌各種~

植物質を多く含んだ餌や、底に落ちやすいコリドラスやオトシン専用の餌、病気になりにくいベータグルカンを含んだ餌など色々とあって便利です。基本のペレットやフレークの補助食として最適です。

冷凍飼料

新鮮な蛋白質とビタミン補給

冷凍餌は自然界で熱帯魚達が食べている餌に近く、嗜好性が非常に高いです。人工餌を食べてくれない熱帯魚の餌付けに非常に有効です。また天然の原料をそのまま急速冷凍しており、本来の栄養価をそのまま与える事が出来ます。弊害としては、与えすぎると人工餌を食べなくなってしまうので、補助食として与えましょう。

~冷凍赤虫~

殆どの熱帯魚に与えられる代表的な冷凍餌です。ユスリカの幼虫を原料としており、安価で栄養価も抜群です。餌付けや各種人工餌の補助食として与えましょう。

~冷凍ブラインシュリンプ~

海水魚の代表的な冷凍餌です。嗜好性は抜群で、餌付けには最適の餌ですが、あまり栄養はないので補助食として利用しましょう。カロチノイドを含み赤の色揚げ効果も望めます。

~冷凍ベビーブライン~

ブラインシュリンプの幼生を急速冷凍した餌で、非常に小さいために熱帯魚の稚魚に与える事が出来る餌として有効です。また小さなポリプから餌を食べるサンゴやクラゲの餌としても利用できます。色揚げ効果も望める為淡水魚に与えるのも良いでしょう。

~その他冷凍餌~

冷凍ミジンコやディスカス用のハンバーグなど使い勝手の良い餌が色々とあります

乾燥飼料

手軽な補助食

乾燥餌は冷凍餌と同様に天然の材料をそのまま乾燥させているので嗜好性が抜群です。ただし乾燥させる段階で若干の栄養損失があるので、冷凍餌が使えない方にお勧めです。冷凍餌と違って保存は容易です。

~乾燥クリル~

クジラなどが常食しているオキアミという名の海のエビの仲間を乾燥させたものです。嗜好性が非常に高く、大型魚や海水魚の餌として非常に有効です。ただし塩分濃度が高い場合があり、与えすぎると障害が出る場合もあります。

~乾燥赤虫~

冷凍と同じユスリカの幼虫を乾燥させたもので、嗜好性が非常に高いです。冷凍餌には栄養面でやや落ちるので、冷凍餌が使えない場合に最適です。また浮きやすいためアロワナの幼魚の餌などに有効です。

~その他乾燥餌~

冷凍餌とダブる商品が多いですが、事情で冷凍餌が利用できない場合に重宝します。保存が非常に容易で与えやすい便利な餌です。

生餌

栄養価と嗜好性は最高!

熱帯魚が食べている本来の餌に最も近く、究極の栄養価と嗜好性を持った餌です。生餌を食べない熱帯魚は殆どいないでしょう。またボリュームがあるので、大型魚の餌として非常に有効ですが、単一の餌しか与えないと障害が出たり、また人工餌を食べなくなるなど難点もあります。

~金魚・メダカ・川魚~

主に大型熱帯魚の餌として常用されてます。肉食魚が食べる姿は迫力があり、また栄養価も優秀でお勧めの餌です。ただし他の餌を食べなくなってしまう恐れがあり、単食は避けた方が良いでしょう。

~イトミミズ~

全ての小~中型熱帯魚が好んで食べる非常に優れた餌です。また非常に高たんぱくで、入荷直後の痩せの回復や繁殖時に与えると良い効果が望めます。ただし、近年は国産物が取れなく輸入に頼っており、長期間入荷がなくなる場合もあったり、保存は冷暗所でする必要があったりと、使い勝手はやや良くなく、主食にするのは避けた方がよいでしょう。

~ブラインシュリンプ幼生~

ブラインシュリンプの卵をふ化させて与えます。全ての小型熱帯魚が好んで食べ、栄養価も抜群で赤い色の色揚げ効果もあり是非与えたい餌です。また小さいため、熱帯魚の稚魚の餌として繁殖にも欠かせない餌です。ただし、ふ化や使用に少しコツがあるので手軽に利用できないのが難点です。


2、適切な量を与えましょう

人間と同じで、熱帯魚も成長段階でより多くの栄養を必要とし、逆に成長すると最低限の栄養でも十分に健康に育ちます。熱帯魚の成長や健康状況に合わせ、ケースバイケースの餌あげを行ってあげましょう!

●稚魚~幼魚期

1番餌を食べる時期です。成長段階に合わせ、ブラインシュリンプやその他適切な餌を、1日3~5回に分けてタップリあげましょう。幼魚期までは食べ溜めが出来ないので、少量を回数多く与えるのが理想です。この時期にしっかりと餌を与えられないと、成長不良を起こして十分に大きくなれないなど、その後の成長に問題が出てしまう事もあります。

 

●幼魚期~若魚期

徐々に必要とする餌の量が減ってきますが、まだまだよく食べます。1日2~3回ほど必要な量を十分に与えましょう。

 

●成魚

成魚の大きさになり成長を終えると、後はその大きさを維持するだけなので必要な栄養量はかなり減ってきます。1日1~2回の餌上げで十分に必要量を賄えます。与えれば与えるだけ食べますが、肥満になって健康を害したり水をむやみに汚すだけなので、与えすぎない方が良いでしょう。

 

●購入直後など

痩せてしまっている場合が多いため、環境になれたら一定期間は多めに餌をあげて体力の回復に努めてあげましょう。イトミミズや冷凍餌を多用して栄養価の高い餌をあげるのも良いでしょう。

 

●適切な量の判断

餌を与えてから2~3分で食べつくす量が理想です。食べきれず多くが水底に落ちたり、餌を口に含んでも吐き出すような仕草をする場合は与えすぎです。また常にお腹がいっぱいだと、人間と同じでワガママになりがちで、好みの餌しか食べないなど偏食傾向になる場合もありますので、出来れば腹8分程度に与えるのがベストです。常にお腹を減らしていれば、競って餌をねだりに来る可愛らしい姿をいつも見せてくれ、また偏食もせず何でも食べてより健康に育ってくれます。

 

適量を見るのは熱帯魚の太り具合で判断すると良いでしょう。痩せている熱帯魚は正面から見ると薄くペラペラしたように見え、十分に餌を食べている熱帯魚は厚みがありしっかりとした印象の体型をしています。

 

3,魚種別に適切な餌を与えよう!

熱帯魚は種類によって本来食べている餌が異なります。また必要で基礎的な栄養を満たしていれば育ちますが、本来の美しさを発揮させるのはもう一工夫必要です。もうワンランク上の餌上げを目指して、魚種ごとの最適な餌を与えられるようになりましょう!

ーネオンテトラやカージナルテトラなど、小型~中型カラシン類ー

 

フレークや魚種別のペレット状人工餌と、色揚げ効果の高い餌を交互に主食として与えます。粒状の餌の方がしっかりした量を与えられるためお勧めです。可能であればイトミミズや各種冷凍餌をおやつ程度に稀に与え、またブラインシュリンプの幼生を与えるのも良いでしょう。人工餌で2~3種、生餌や冷凍餌で1~2種程度の種類を用意したい所です。

ーグッピーやプラティーなどメダカ類ー

 

フレークや魚種別のペレット状人工餌を主食としますが、口が扁平な種類が多くフレーク状の餌の方が食べやすくお勧めです。草食傾向の強い魚種が多いので、色揚げ効果のある餌と植物質の餌を加えてバランスよく与えましょう。テトラ類と同じで、イトミミズや各種冷凍餌をおやつ程度に与えて、可能であればブラインシュリンプの幼生を孵化させて与えると良いでしょう。人工餌で2~3種、生餌や冷凍餌で1~2種程度は用意してあげましょう。

ーエンゼルフィッシュやグラミーなどー

 

上記の2種に比べると、体の大きくなる種類が多いためフレークフードより、口に入るサイズで大きめのペレット状の人工餌を主食にするのが好ましいでしょう。イトミミズや冷凍赤虫などをおやつ程度に与えた方が良いのは同じですが、より多くの栄養を必要とする種類ですので、イトミミズや赤虫をあげる頻度や量を小型の熱帯魚よりは増やした方がより立派に育つでしょう。人工餌で2~3種、生餌や冷凍餌を1~2種使いまわして与えるとよいでしょう。

ーコリドラスやローチ類など底物熱帯魚ー

 

浮いている餌を食べるのが苦手ですので、底に沈むペレット状の人工餌や専用の固形フードを主食にしましょう。冷凍の赤虫やイトミミズも好んで食べますので積極的に与えてもよいですが、食べすぎない程度に調整しましょう。特にイトミミズは腹水になりやすいので、注意が必要です。一部のロングノーズ系のコリドラスなどは人工餌に餌付かず、生涯を冷凍餌や生餌しか食べないで過ごすため注意が必要です。

ープレコやオトシンクルスなどー

 

浮いている餌を食べるのは苦手なので、ペレット状の底に沈むフードを主食に与えます。草食傾向が非常に強い種類ですので、植物質を多く含んだ専用の餌を与えると良いでしょう。ただし、大きくなる種類を中心に種類によっては肉食傾向が強く、冷凍の赤虫やイトミミズを好む種類もおりますので飼育している種類の特徴をよく調べてから与える餌を用意しましょう。

ー大型魚などー

 

生餌しか食べないイメージがありますが、慣れれば殆どの種類が人工餌も食べるので是非人工餌も食べるように育てて下さい。魚種別の人工餌が多く発売されており、それらを食べるように育てるとより健康に美しく育成できます。とはいえ、大量に食べる大型魚はやはり生餌中心に餌を与える方がコスパに優れますので、生餌と人工餌を両方上手に活用して育成しましょう。生餌も金魚やメダカを単一で与えるのでなく、エビ類など色々な種類を与えましょう。日頃から食べさせ過ぎると、拒食や単一の餌しか食べなくなるので、常にお腹を減った状態でいるよう与えすぎに注意しましょう。

ー金魚・メダカなどー

 

金魚はペレット状の人工餌、メダカは口が扁平なのでフレーク状の人工餌を主食にして与えるとよいでしょう。また金魚は他の熱帯魚等と違って胃がないので、消化しやすい専用の餌を与える事が大切です。また赤くなる種類が多いので、色揚げ効果の高い餌を与えるとより綺麗に育てる事が出来るでしょう。また消化不良を起こしやすくなるので、屋外飼育の場合も含め、ヒーターが入っていない環境では気温が低い時期に餌を与える事には注意が必要です。

ー海水魚などー

 

海水魚は自然採集された個体が多く、小型のスズメダイなどを除いては直ぐに人工餌を食べない場合も多いです。冷凍餌や生のエビや貝類を利用して、餌付けをしてから人工餌を食べるように徐々に切り替えましょう。草食傾向の強い種類が多く、植物質を多く含んだ餌を併用して与えると、色あせなどを防ぎながらより健康に育てる事が可能です。人工餌を食べるようになったら、種類や大きさごとに適切な餌を用意してあげて、人工餌を中心におやつ程度に冷凍餌を与えながら育てると良いでしょう。